硝子の靴を履いたばっかりに(それを壊したばっかりに?)城に連れてこられた庶民なヒロイン。
手強い爺さん、群れるメイド。超非常識王子、エトセトラ。出るわ、出るわ、変な人。
こんな場所で大人しくしている彼女・・・なら話はそこで終わり、王子も汚れにならずに済んだ?
お互い、あり得ないほどに非常識な庶民と王子の、ラブになるかもしれないコメディ。
 3。

 失礼な男である。しかも王子・・・かもしれない。
 ああ、そう。そういわれてみると上品な驚き方。上品な仕草。上品なお召し物。上品な顔。偉そうな口調。・・・かもね。そうかもね。
 いや、王子かどうかなんてどうでも良いけど、一体全体、何がどうなっているのよ。ええ?
 ・・・と、「?」マークを散りばめたあたしに、男は言った。
「何を言ってるんだ。そんなことも分からないのか。お前、本当に城下から来たのか?」
 立ち直ったのか、素直に呆れた口調で王子(ただ今確定)は言う。ぐさ。何だ。その上品な反撃は。そう思い、あたしは素直に反撃してしまった。
「煩いなぁ。あんたの顔なんか誰も覚えてないよ」
 うっかりそう言ってから、いい加減失礼に気付く。いかんいかん。この人、王子だったんだ。と。
「あ、申し訳ございませんでした。はぁ」
 と、気を取り直して謝った先には、引きつった顔の王子。あららら。打たれ弱いみたいね。この王子。
 しかし辛うじて踏ん張った様子の王子。苦しそうな口調で、次にこんな事を言った。
「・・・で? 何をしに来た」
 王子が言うと、こんな傲慢な口調も何だか上品。王子と思えばね。王子じゃなかったら、ただのくそガキだ。
「それはこっちの台詞ですよ。何故に、あたしはここに拉致監禁されているのでしょうかね?」
「拉致監禁? お前、頭は大丈夫か?」
「お前の頭こそ、大丈夫か?」
「・・・」
 同じ言葉を言い返しただけなのに、王子は素直に傷付いた模様。何だ。本当に打たれ弱いな。そんなんじゃ、世の中渡って行けんぞ。王子。
「分かった。冷静になろうではないですか。王子」
 使い慣れていない言葉を使い、あたしは言った。窮屈だが仕方がない。この王子、変に攻撃したら崩れ去りそうだ。
「まずは何故こういうことになってしまっているのか、話し合って見るというのは如何なるものかな?」
「お前、言葉遣いが変だぞ」
「あんただって変だよ」
「・・・」
 その言葉に、また黙ってしまった王子。だから、頼むからそんなことに傷付くな。




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