硝子の靴を履いたばっかりに(それを壊したばっかりに?)城に連れてこられた庶民なヒロイン。
手強い爺さん、群れるメイド。超非常識王子、エトセトラ。出るわ、出るわ、変な人。
こんな場所で大人しくしている彼女・・・なら話はそこで終わり、王子も汚れにならずに済んだ?
お互い、あり得ないほどに非常識な庶民と王子の、ラブになるかもしれないコメディ。
 5。

 失礼で、そして弱弱王子。名前はクリスロットと言うらしい。
 面倒臭いので、勝手に「リス」にした。だってクリスじゃイメージが合わない(偏見)し、スロットじゃなんか変だ。ロットでも良いかと思ったが、リスの方が呼びやすそうじゃないか。と言うわけでリス。リスに決定。
 しかし最初は相当な違和感を覚えたらしく、呼ぶ度に停止した。いちいち止まるな! と思う。何も山田をアレキサンドライトと呼んでいるわけじゃーないんだから、さぁ。と。
「で? 何の話だっけ?」
 リス・・・リス、かぁー。小動物みたいだな。と一人で呟いている王子に声を掛ける。どうでもいい(と言うと傷付くから言わないが)話で時間を食ってしまった。
「何の話? ・・・ああ、だから」
「そうそう、そうだったね。で? 何であたしは、ここに連れてこられたの?」
「・・・」
 話の主導権を取られて、リスは呆気にとられている。この人ダメージが多すぎるわー。と、思いながらもう一度、問うた。
「ね。何であたし、こんな所にいるわけ?」
「・・・それはこっちも聞きたい」
 ムッとした様な顔をして、リスはそう言い捨てた。あららら。今度はご機嫌斜めですか。王子。難しいお方やねぇ・・・。
 まあ、良いや。どうでも良いや。彼のご機嫌を直している暇はない。と、早々興味を失ったあたし。この王子に問うても何も出て来なさそうなので、自力解決を目指すことにする。うーん・・・何だろう。連行拉致監禁されたところを見ると、何か罪でも犯したか?
「だとしたら、硝子の靴破損罪かなぁ・・・?」
 他に思い当たる罪はない。でも、あれを家の前に置いて「どうぞ」とか言うから、履くのかと思ったんだもん。ねぇ? ま、それで壊れた訳じゃないけれど、それで壊したからって、あたしのせいじゃないっての。大体、足元を見る兵隊が悪い・・・え? あ、あれは正当防衛よ。当然じゃないの。嫁入り前の御足を、あんな至近距離で! こっちが訴えたいくらいだ! 蹴って終わりにしたことを、むしろ有り難いと思って貰いたい!
 そんなことを考えていた視界の片隅。変化を察し、リスの方に視線を戻した。
 リスは目を丸くしてあたしを指さし(されると確かに嫌なものだな)目が合うとポツリとこう言う。
「硝子の靴を? 壊したのか? お前」




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