硝子の靴を履いたばっかりに(それを壊したばっかりに?)城に連れてこられた庶民なヒロイン。
手強い爺さん、群れるメイド。超非常識王子、エトセトラ。出るわ、出るわ、変な人。
こんな場所で大人しくしている彼女・・・なら話はそこで終わり、王子も汚れにならずに済んだ?
お互い、あり得ないほどに非常識な庶民と王子の、ラブになるかもしれないコメディ。
 2、人の常識を粉々にする人達。

 どうかしてる。この城の常識は、常識をこれでもかと打ち砕く。少なくともあたしの常識は、木っ端微塵に砕かれた。
「では、お休み前に御入浴をどうぞ」
 と、言われて「・・・うー。そうか。そうね」と、渋々ながら従ったあたし。
 しかし、どちらかというと有り難い申し出ではあった。スッキリして、ゆっくり寝たいわ。精神的に疲れて、そうも思ったし。入浴は好きだし。
 でも、いらない。人はいらない。あたし、子供じゃないから。自分で出来るからーー!!!
「いやー! 触らないで! 見ないでーー!!」
 響くのなんの。
 あたしの悲鳴は、自分でも不快なほどに騒音だった。いや、しかし信じられない。何が信じられないって、何もかもが信じられない。大理石の浴槽。広場かと思うほどに広い浴室。
 そして構えている服を着た女の人達!!! 何やってんの!? 貴方達一体何やっているの!? と思ったら「お世話をさせていただきます」だと。いらんわーーー!!!
「大丈夫ですから! お気を確かに!」
「あんた達のせいで気が触れてるのよ!! 離れて! 出てってーー!!」
 そうは言っても、タオルを巻いただけのあたしは、殴ったり蹴ったり・・・じゃ、なかった。ええと・・・俗に言う、大胆行動に出ることも出来ず。あれよあれよと言う間に数人の女の人に押さえつけられてしまった。
「背中をお流しするだけですから!」
「髪を洗うだけですから!」
「トリートメントだけ!」
「お肌の、お手入れだけ!」
「いらないってば! そんなことして貰わなくても自分で出来るってーー!!」

 そして一時間後。好き勝手に洗われまくったあたしは、浴槽の隅でため息を付いた。




戻る 目次 次へ
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。