硝子の靴を履いたばっかりに(それを壊したばっかりに?)城に連れてこられた庶民なヒロイン。
手強い爺さん、群れるメイド。超非常識王子、エトセトラ。出るわ、出るわ、変な人。
こんな場所で大人しくしている彼女・・・なら話はそこで終わり、王子も汚れにならずに済んだ?
お互い、あり得ないほどに非常識な庶民と王子の、ラブになるかもしれないコメディ。
 4。

 絶対抜け出してやる。当然だろ。冗談じゃない。だからあたしがこんな事をするのは、至極当然のことである。許せ。再び脱出しようとも。
 昼下がりのことであった。あたしは再び抜け出し決行。
 昼食後。代わりのシーツやらカーテンやらを用意しますから。と、言われてしまった為、カーテンもシーツもない部屋に一人。何だか間抜けな状態の、ある日の城の一室。
 服を着替えさせられ、食事をとらされ、再び何十本というピンでしっかり結われてしまったあたしの髪。デジャヴを感じるのは気のせいだと信じたい。
 さて。行くか。
 残る脱出ルートは、あと一つ。ということで、あたしは躊躇うこともなくドアから部屋を後にした。



 それにしてもまぁ。標識もなければ特徴もない廊下が続いている。何度曲がっても、同じ。階段を上っても下っても、同じである。同じに見える。あたしには。
 辛うじて違うのは、置いてある花瓶だの絵画だののみ。よく見てないけど多分。あー、もう。せめて階段の所には数字を書いておけ! 今何階かも分からなくなったぞ!!!
 と、自分の方向音痴を棚に上げ、城に文句を言いたい放題。広さや豪華に有り難みゼロ。しかし、まあ何と言っても誰もいないのは有り難い。どうせいたところで道を聞くことなど出来ないのだから、いない方が良いに決まってる。
 すたすたすた。そしてあたしは歩く。歩く。ひたすら歩く。上がり、下り、下り、上がり。下り、上がり、上がり、下り・・・。曲がり、曲がり、曲がり、曲がり。左左左右右左右。
 それにしても、ねぇ・・・。本当に本当に何も変わりのない廊下。全然、辿り着く気がしない。一体全体、ここにいる人達はどうしているのか。マップか磁石を携帯しているとか? それらを持ち得ないあたしは、さてどうする。絵とか花を覚えて進んでみるか。うん。そうしてみるか。
 そう思い、今まで全く興味の無かった絵を見てみることにした。・・・うん?
 それを、遠ざかって見てみる。・・・うん。
 そしてベストポジションまで後退し、その目の前にあった扉を開いた。カーテンもシーツも欠けている、それはさっき脱出したはずの部屋。迷い迷いつつ、元の場所に戻ってきていたようであります、はい。
 そりゃ、同じように見えるわな。同じだもん。・・・って、ここは富士の樹海かー!!!!




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