硝子の靴を履いたばっかりに(それを壊したばっかりに?)城に連れてこられた庶民なヒロイン。
手強い爺さん、群れるメイド。超非常識王子、エトセトラ。出るわ、出るわ、変な人。
こんな場所で大人しくしている彼女・・・なら話はそこで終わり、王子も汚れにならずに済んだ?
お互い、あり得ないほどに非常識な庶民と王子の、ラブになるかもしれないコメディ。
 5。

 絶対抜け出してやる。当然だろ。冗談じゃない。だからあたしがこんな事をするのは、これまた至極当然のことである。許せ。再び・・・の再び、脱出しようとも。
 ちなみに二回目の脱出は誰も知らない内に失敗と相成りました。はい。どんまい! あたし!! そうだよね、あたし! そうだとも、あたし!!!
 ということで立ち直り。よし。と呟いて、あたしは歩き出す。気を取り直して再スタート。まだまだー! と叫びながら食らいついていく、所謂スポーツマンシップに則って。フェアプレイ? そんな言葉は知らん。
 とにかく少しは道を覚えよう。闇雲に歩いたってしょうがない。せめて方向だけでも。どの方向に何回曲がったか位はね。うん。
 そして一つ目の角を、ここは選択肢がなかったので左に曲がり・・・。
「やばっ」
 ・・・かけて、人の気配に気付いた。見ると、そこには三人のメイドさんの姿。両側で籠を持つ二人と、その後ろにいる一人。あぶねぇー! 危機一髪あたし! ドキドキする胸を押さえて、あたしは壁の陰に隠れて縮こまった。あんまりしつこく見付かったら、今度は実刑が下るかも知れない。監視とか、監視とか、監視とか。冗談じゃない。
 ・・・さて。暫くそのままでいたが、どうやら彼女達は気付かぬ様子。あたしは引っ込んだ壁から僅かに顔を出し、その様子を伺った。彼女達のお世話ターゲットは別にいた模様。あたしから遠ざかるように、向こうの曲がり角を右に曲がっていく。
 それを黙って見送るあたし。背中が見えなくなって、ホッとして・・・。
 あれ?
 ハッとした。
 ・・・これって。
 気付いた。これって、チャンスじゃないの!? と。




戻る 目次 次へ
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。