硝子の靴を履いたばっかりに(それを壊したばっかりに?)城に連れてこられた庶民なヒロイン。
手強い爺さん、群れるメイド。超非常識王子、エトセトラ。出るわ、出るわ、変な人。
こんな場所で大人しくしている彼女・・・なら話はそこで終わり、王子も汚れにならずに済んだ?
お互い、あり得ないほどに非常識な庶民と王子の、ラブになるかもしれないコメディ。
 4、貴方結局、誰の味方なの? 神様!

 神様は、弱き清き者の味方である。しかし、試練もお与えになる厳しいお方であるらしい。
 ・・・などと神様について語っている場合じゃない。
 どうしよう。どうする? せっかく出口を見付けたのに、開かないじゃーないですかーっ。しかも誰かが来ちゃったりして、またしてもピンチなあたし。お願い神様、今回も見付かりませんように、向こうに帰ってくれますようにーっ!
 そのあたしが縮こまる階段の横。さっきと同じ様な、誰かが何かをしている物音。そして再びドアの開く音がして、風があたしの頬を撫でた。おおおおおい。開いてるよ。ドア開いてるよ! こんなに近くにいるのに口惜しやーっ。
 そう思っていたら、話し声が聞こえてきた。
「こちらにどうぞ」
 女の声。・・・さっきのメイドだろうか? そう思っていたら、ドアの閉まる音がした。そして、しっかりと鍵を掛ける音も。あぁー。あたしの脱出口がーっ。
「そこにいて下さい。さっき荷物をどけましたから。・・・ええ、そうです・・・」
 その言葉で確信。どうやらさっきのメイドらしい。出たり入ったり忙しないなぁー。・・・何をやっているんだろう。
「あとでご案内します。暫し、お待ちを」
「???」
 訳が分からないけど、誰かを入れたらしい。こんな所から。しかしメイドの言葉遣いを聞いていると、同僚でもないようだ。変なの。
 てか、案内しますって? ここの階段使うかもって事? ・・・まずい。そう言えばあたし、大分長い間ここにいた。いつ、誰が来てもおかしくない。下に誰かがいる以上、逃げ道は上一本。これは出直すなり何なり、とにかく去った方が得策だ。
 どうせ外から入ってきた人間は、暫くここにいるだろう。とういうことは、いつ行動に移しても何ら変わりない。だったら早いほうが良い。今すぐ音を立てないように気を付けて階段を上ろう。
 そう決断し、二人に背を向けた瞬間。聞こえてきたのは男の声。
「君に、忠誠を」
「貴方に、忠誠を」
 そして耳を撫でたのは、小さな小さな光る音。
 ・・・本当に、気のせいかも知れない。本当に、小さい音だったから。それにあたしは、相当動揺してたから。
 ・・・だって。
「・・・っ!?」
 おいいいいっ。こんな所で愛を語らうんじゃない! そう思いながら、あたしは慌てて階段を上った。



「たはーっ」
 熱を与えられた気がして、あたしは頬を手で仰いだ。何てこったい。逃走劇(未だ未遂)もそれなりにドキドキしたが、それとは違うドキドキに戸惑うあたし。ええ、そう言った話題や、やりとりには不慣れでございますから。・・・ええい、煩い。
 とにかく何が困ったって、二人の声が頭から離れない。あんな愛の囁きは初体験。・・・ああ、そうね。あたしに向けられたものじゃないけどね。そんなんで興奮してるあたし、変よね。早く冷めろ。ほっぺた。
 そんなこんなで火照った頬に気を取られていたのか、気が付いたら見たこともない場所にいたあたし。フラフラと歩いてしまったらしい。
 はたと気付いて、呟いた。
「ここ。どこ?」




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