硝子の靴を履いたばっかりに(それを壊したばっかりに?)城に連れてこられた庶民なヒロイン。
手強い爺さん、群れるメイド。超非常識王子、エトセトラ。出るわ、出るわ、変な人。
こんな場所で大人しくしている彼女・・・なら話はそこで終わり、王子も汚れにならずに済んだ?
お互い、あり得ないほどに非常識な庶民と王子の、ラブになるかもしれないコメディ。
 2。

 神様は、弱き清き者の味方である。しかし、試練もお与えになる厳しいお方であるらしい。それに動揺している人間を見て、神様頭を抱えているのか、それとも笑っているのか。
 段々、暗くなってくる外の光。日中も煌々と照っている室内の光が存在感を増し、静かな夜が・・・って、ここはいつも静かだよ。本当に人がいるのか? どうして会わないんだ!?
 ・・・と、ここは来客との商談用スペースであるからなどということは考えても分かる筈のないあたし。迷ったことを無人のせいにして、空腹感にプツンときそうになる。
 とにかく、変わらないのはあれから二時間ほど、あたしが一人きりということで。・・・つまり、今も迷ってるって事で。
 とぼとぼとぼ。当てもなく歩き続ける。歩き続けないと、誰にも会える気がしない。とぼとぼとぼ。あー疲れてきたー。
 注意力も散漫になっている。・・・というか、見付かっても良いと思えば張る必要のない気が張れるわけがない。お腹も空くしー。
「・・・また、こんな所で何やってるんだ。お前」
 だから、自分でも信じられないことに気付かなかった。下を向いて歩き続け、「彼」を通り過ぎたことにすら。



「はっ?」
 声に顔を上げると、横にいたのはリス。・・・あれれ。あれ。と、目を丸くしたあたしに、呆れ顔のリス王子。
「今度は何だ。何をしでかす気なんだ」
 会ってから、正確にはまだ一日も経っていない。けれどリスは立派な汚れとなり、そしてあたしという人間を少なからず理解した模様。この二つは多分、切っても切れない関係。そうでなければ、いきなり尋問口調になんかなるもんか。
「・・・べ、別に・・・」
 逃げ出す途中でラブシーンを目撃し、それに動揺して歩き回っていたら訳も分からない場所に辿り着きました。そして、ずっと迷っていました。
 ・・・とは、色々と問題があって言えないあたし。腹減ったよう。とも・・・悔しくて口に出来ない。
 しかし、リスにとっては「別に」で納得出来る相手である筈がない。「どうせまた、脱走しようとして迷ったんだろ」と、ため息混じりに呟いた。惜しいっ。正解には出来ないけど、三角くらいなら上げても良いよー。と、添削先生なあたし。
「とにかく、さっさと戻れ。ここから先は外からの客がいる。お前がいると品位が下がる」
「・・・はぁ・・・」
 その侮辱にも、反論する力のないあたし。つまり、相当にお腹が空いたわけで。・・・道も分からんしなぁ。
 そのあたしを見て、リスが一層呆れたように言った。
「空腹なのか」
 大当たりー!! ・・・って、言う気力もないよ。もう。




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