硝子の靴を履いたばっかりに(それを壊したばっかりに?)城に連れてこられた庶民なヒロイン。
手強い爺さん、群れるメイド。超非常識王子、エトセトラ。出るわ、出るわ、変な人。
こんな場所で大人しくしている彼女・・・なら話はそこで終わり、王子も汚れにならずに済んだ?
お互い、あり得ないほどに非常識な庶民と王子の、ラブになるかもしれないコメディ。
 5、神様観客、庶民は役者。ここは所謂、人生劇場・・・?

 ねぇ、神様。今、あたしを見てる? ・・・どんな気分? 笑ってるの? それとも、ドキドキ? ハラハラ?
 これは非公式な捜査になる。相手にも他人にも、それと気付かれてはならない。
 しかも、あたしと共に行動しなければならないと言うおまけ付き。よって仕方なく、こさえた訪問の理由はこれ。
「そうですか。クリスロット王子も、とうとう結婚を考えるお年になられましたか」
 ありきたり? 文句言うな!
 ・・・と、あたしはリスに怒られた。俺だって嫌なんだ! と。・・・ごもっとも。
「おめでとうございます」
 しかし対面した、口元に白髭を生やしたお爺さん・・・じゃなかった、東の要人は、にこにこにこにこ。そう言って手を叩いた。その隣に控えている三人の男も笑顔でそれに従っている。
 あたし達? 引きつっていようと何だろうと、笑うしかないだろ。「・・・へへへ」「・・・えへへへ」とかいう・・・フォローにならない笑顔でも。誰か、これをおかしいと思わないのか? と我ながら思うほどに、あたしはおかしいと思うぞ!
「いや、これはめでたい。早速明日、王にも伝えましょう」
 それなのに要人は笑顔のまま、こんな事を言う。ああ、人を疑わないみたいな貴方が素敵です。お爺ちゃん。・・・と、誉めるのは、多分この時以外だったら。実際、この時胸の中にあったのは、お前少しは人を疑えよ!!! と、腐った大人みたいな気持ちだけ。
 いや、しかしこれには焦った。二人ブンブンと慌てて首を横に振り、思わず否定し掛かるお互いの口を塞がんばかりの勢い・・・で、辛うじてフォローする。
 いや、フォローさせる。亭主を尻に引いた奥さんみたいに、背中の辺りを笑顔でギューッとつねるあたし。
「じ・・・実は、その・・・」
 さっきまでの勇ましさはどこへやら。リスはしどろもどろに苦しい言い訳を始めた。
「その・・・まだ、父親にも伝えて無くて・・・ですね。その・・・結婚しない・・・じゃなかった。出来るかも分からないので、今回はどうか王にも内密に・・・」
「・・・これはこれは」
 一瞬驚いた顔をして、(そりゃそうだろ)お爺さん呟く。
 しかしこういうことは、もしかしたら良くあることなのかも知れない。やがてその顔は笑顔になり。
「分かりました。その時が来るまで私の胸に秘めておきましょう」
 と、あっさり頷いてくれた。




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