硝子の靴を履いたばっかりに(それを壊したばっかりに?)城に連れてこられた庶民なヒロイン。
手強い爺さん、群れるメイド。超非常識王子、エトセトラ。出るわ、出るわ、変な人。
こんな場所で大人しくしている彼女・・・なら話はそこで終わり、王子も汚れにならずに済んだ?
お互い、あり得ないほどに非常識な庶民と王子の、ラブになるかもしれないコメディ。
 9、そう言えば何でも済むのか!?

 おまじない。そう言えば、全てが済んでしまう気がする。
 おまじない。そう言われたら騒ぐのもおかしな気がして。要は、結局、お互いの意識の問題ということで。
 そしてそれからリスは、あたしと会うと毎回のように、おまじないをした。

 包帯の上。おまじない。
 これは、どう受け止めればいいのか。あたしはベッドの上で、眉間に皺を寄せて考えていた。時刻は十二時。メイドさんが「おやすみなさいませ」と部屋を出てから、既に二時間経過している。何もすることのない筈のあたしは、寝ることも出来ない。
 いや、寝ようとしている。けれど意識を奪う問題に、眠れない日が続いている。例えば、あたしのファーストキスは終わったのか否か。やっぱり口じゃなきゃカウントされないのか。そもそもあれはキスなのか。それとも呪いとか占いとかそんな感じの、おまじないなのか。
 ・・・なんてアホなことを考え続け、あれから七日。我ながら何をやっているんだろうと思う。
 そんなことを考える辺り、もしかして慣れてしまった? ・・・いやいや。そんな筈がない。と、繰り返す。問いかけと分かり切っている答だけは、いつもペアになってあたしから出てくる。繰り返しまくったそれらは、今確信にすらなっている。あれに慣れる日が来るなんて想像も出来ない。何でもないことだとしても。
 おまじない。何度されても体は痺れを覚え、息が止まりそうになる。けれど拒まないのはきっと、リスがあたしの怪我の回復を本当に祈ってくれているから。・・・そう、あたしが信じているからだ。
 そう思わされてしまう、彼の態度。・・・上手く言えないけど、そう感じてしまう彼の態度。どこがというわけではないのに、どこかが変わったはずの彼の態度。自意識過剰でも何でも構わないけど、そうとしか思えない自分。
 だからきっと、そうなのだ。少なくとも確かに、そういうことなのだ。ということは、やっぱりおまじない? ・・・なのかもね。
 とにかく寝よう・・・。
 行き着く場所まで行き着いて、やっと体から力を抜き、目を閉じる。毎日毎日、最後の最後で何となく、こうやって答えらしき物を手に入れ、眠りにつくあたし。まあ、明日は明日の風が吹くさ。みたいな最後。最終的には、結局それだけ。そこまでの道のりは短くなくとも、結局そんな終わり方の繰り返し。

 そんなことを暢気に考えられていた要因に、包帯も一役買っていたと知るのは翌日のこと。



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