硝子の靴を履いたばっかりに(それを壊したばっかりに?)城に連れてこられた庶民なヒロイン。
手強い爺さん、群れるメイド。超非常識王子、エトセトラ。出るわ、出るわ、変な人。
こんな場所で大人しくしている彼女・・・なら話はそこで終わり、王子も汚れにならずに済んだ?
お互い、あり得ないほどに非常識な庶民と王子の、ラブになるかもしれないコメディ。
 17、外見と内面なんて、思ってるほど素直じゃないよ。だから気を付けろ。

 ねぇ。意外な人が強かで、意外な人が弱かったり。そういう風に、世界は出来ているのかもね。
「レイラ」
 翌朝。全然喉を通らなかった朝食を終えた時間に、いつも通りシュリアが入ってきて。
 彼女は、いきなりこう言った。
「昨日、どうだった?」
「あー・・・シュリア。おはー・・・・・・はい!?」
 まずは、おはようでしょー?
 ・・・と、いう指導は見事に吹っ飛んだ。悲鳴を洩らして目を丸くしたあたしは、シュリアを見上げてしばし呆然。
「ね。ね。ね。クリス・・・ロット王子は来た?」
 うきうきうき。一方、彼女は満面の笑みで、あたしの顔を覗き込んでくる。ああ・・・あー。そうか。そうだった。こいつの仕業だったな。と、思い出し。
 ・・・もー・・・。そう呟き、感じた気持ちは複雑。
「・・・来たよ」
 隠す必要もないことに気付き、あたしは膨れっ面で頷いた。何よ。二人とも何考えているのよ。そう思いながら。
 でも結局、何も聞けないあたし。もどかしさを持て余しつつ、逃げるように顔を逸らす。
「もしかして」
 シュリアはそう呟いて、そのあたしの耳元に口を近付けた。香る、パーフェクトフラワー。緩やかに流れる、シュリアの声。まるで酔いそうな、空気。
 けれど出てきた言葉は以下の通り。
「襲われちゃった?」
「うぐっ」
 息を詰まらせた。へー。酸素って個体だったんだー。今初めて知ったー。というくらいの衝撃である。
「おそっ!!?? 何言ってんのよ!!」
 何でそんなことをシラッと、あんたはっ!!! あんた、そんなキャラじゃなかったでしょー!?
 という、非難は彼女には届かず。
「だってぇー」
 何だ。大したことはなさそうだな。と、判断したらしい。面白くなさそうに唇を尖らせて彼女は言う。
「何で我慢するのかしら。駄目ねぇー二人とも」
「がま・・・っだめ・・・っふたっ」
 それはこっちの台詞だーっ!!! と、言い掛けたあたしは、実際、精神的にもうヘロヘロ。
 対してノーダメージなシュリアは、キラキラして憎たらしいくらいの笑顔。続けて、こんな事まで言った。
「また嗾けちゃおうかしら。油断しちゃ駄目よ。レイラ」
「・・・」
 あがあがあが。それに対し、言える言葉などあっただろうか。いや、ない。口をパクパクするので精一杯。
 ・・・分からない。どうしてこう、あたしだけが振り回されるの? 納得いかない。理解も出来ない。どうしてよ。ねぇ。どうしてよー!!???

 香る香る、パーフェクトフラワー。あたしはこの香りに幻を見ていたのだろうか?




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