硝子の靴を履いたばっかりに(それを壊したばっかりに?)城に連れてこられた庶民なヒロイン。
手強い爺さん、群れるメイド。超非常識王子、エトセトラ。出るわ、出るわ、変な人。
こんな場所で大人しくしている彼女・・・なら話はそこで終わり、王子も汚れにならずに済んだ?
お互い、あり得ないほどに非常識な庶民と王子の、ラブになるかもしれないコメディ。
 2。

 本質は変わりませんよ。どんなに着飾っても。どんな立場でも。
「あー。よく寝た」
「俺も」
 そう言いながら、あくびをかみ殺し、リスはあたしが馬車から降りるために手を取ってくれた。ありがと。ええと、裾を持ち上げて、ちょっと支えて貰って、よいしょ。
 無事着陸。あー。もう。本当に厄介な服だわ。ドレスって。そりゃ、生まれた時から一生着ることはないだろうなと思うことすらなかった豪華なお召し物ですから。着て損はないと思う・・・けど。だから、それはあくまでも黙って立ってる分にはね。つまり、ただの観賞用。使い勝手は最悪であります。
 なんて思うあたしに着られてるドレス、幾らすんだか知らないが正に貧乏くじ。ごめんよー。デザイナーさん他、制作に携わった方々にもごめんなさい。と、素直に謝罪。うーん。そう思うと哀れだ。無理にでも有り難みを感じてみようか。と、マジマジ自分の足下を見つめた。その時点で既に失礼である。
「良く似合ってるよ」
 そのあたしに気付いたか、見上げると笑顔のリスが居た。こういうところはホント、育ちが良いんだなぁと思う。簡単に人の気持ちを暖めてくれるんだから。
 そうか。これは、こういう為のドレスなのか。納得。確かに悪い気はしない。
 そして「ありがと」と、言った瞬間だった。多分「と」の部分に引っ掛かっていただろう。
「クリスロット様ぁー!!!」
 という、甘ったれた声があたしを殴りつけた。




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