硝子の靴を履いたばっかりに(それを壊したばっかりに?)城に連れてこられた庶民なヒロイン。
手強い爺さん、群れるメイド。超非常識王子、エトセトラ。出るわ、出るわ、変な人。
こんな場所で大人しくしている彼女・・・なら話はそこで終わり、王子も汚れにならずに済んだ?
お互い、あり得ないほどに非常識な庶民と王子の、ラブになるかもしれないコメディ。
 4。

 本質は変わりませんよ。どんなに着飾っても。どんな立場でも。どんな場所でも。誰と共に居ようとも。
 ドアが開き、ホールへの道があたしの足下に繋がった。屋内から外に出る時、明るさに目が眩むことがある。けれど、この時は全てが真逆だった。中から零れてきたものが、光。それは目が眩むほどに、強い光。
 笑い声。話し声。そして、光。それらはまるで溢れるように部屋から零れて、あたしを強く包み込む。
 想像していた、想像以上の、選ばれた者だけが入れる場所。そう思うからこそ、ここは輝いているのだろう。外よりも、ずっと。
 あたしの足は進み掛け。
 そして止まってしまった。ぼんやりと見つめるあたしの手を持ったまま、リスは言う。
「どうかした?」
「あ、ううん・・・」
 目の当たりにして、良く分かる。綺麗な物だらけの世界。高価なものだけの世界。憧れや僻みを感じるのも自由だ。人それぞれ。
 それ程までに、この場にはきっと価値がある。実際、あたしだって「彼女」に会ってなかっらどう思っただろう。今となっては、もう分からないけれど。
「・・・シュリアがね」
 彼女が、ここにいてくれたらいいのに。と思う。同情じゃない。我が儘でもない。僻みでもない。ただ。
「シュリアが、ここにいたらね。きっともっと華やかだろうなって・・・思っただけ」
 ただ、それだけ。彼女はきっと輝くだろう。一層輝くだろう。その彼女を見たかった。それだけの話。
 あたしにとって彼女は、それ程までに華やかだった。姿形だけではなく、全てが。そんな彼女が好きだ、と思う。だからこそ、そう思う。
 あたしは笑顔だった。だからだろう。
「そうだな」
 リスは躊躇いもなく頷く。
「俺も、そう思うよ」




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